6月、新人アシスタントが入社し、そろそろ仕事にも慣れてくる頃でしょうか。今これを読んでいる先輩スタイリストの方々は彼らの教育に頭を悩ませる日もあるかもしれません。
一体どうやって教えればいいんだろう?
手の動きや足の動きは…人それぞれだからなあ。
なーんて声も聞こえてきそうです。
そんなあなたにこちらのカットウィッグをご紹介。質問です。こちらのヘアスタイルは一体キャリア何年の美容師が作ったものでしょうか?
現在ジュニアヘアドレッサーズスクールで活躍する生徒が、小学6年生のときに作った作品です。
どうして小学生の女の子がこんなカットを?
と思った方必読、今回は特別にその秘密を教えちゃいます。
小学生塾生とプロの美容師との違い
まだ何にもわからない小学生が、プロ並みのスタイルを作れる理由。
それは、パネルをねじらないことにあります。
大半の美容師は、パネルがねじれているのに気づかないままカットし、完成したスタイルが思ったものと違うものになってしまう経験があるのではないでしょうか。パネルがねじれてしまう原因として、以下の3点が考えられます。
- 髪の毛(ウィッグやお客様)との距離が近い
- パネルを持っている側の肘が大きく開く。
- 重心移動や足の運びができない。
しっかりできているようで、実はできていない人が多いのが現実です。
これでは3×4の法則は成立しません。
身体の動かし方
まず一番大事なのは身体の使い方を理解すること。
カットの基礎の部分です。
- 作業する箇所との距離感
- 身体の重心で動く(移動)
- 足を動かす(前・後ろ・横へ)
- 毛束を持つ側の肘は、身体の前で締める
カットの秘訣は、体の重心で動いたり、足を動かしたり、毛束を持つ側の肘を締めたりするだけ。
とってもかんたんじゃないですか?
この動きだけなら新人アシスタントにも気兼ねなく教えることができそう。
身体の動きと3×4の法則を理解するだけで、小学生がヘアスタイルを作れるのです。
3×4の法則
次に大切なのが3×4の法則です。これを成立させるには、パネルに「ねじれ」や「たるみ」がないことが絶対条件。正確なフォルムを作るためにこの「ねじれ」や「たるみ」に注意しましょう。
②斜め
③よこ
スライスとは、カラーやカットする為にパネルを薄く分けとること。この角度の違いがヘアスタイルのシルエットにも影響してきます。
ここで覚えておきたいのが、スライスが縦に近づくほど、段が多くつくということです。
②オンべース
③プル
毛束を引き出す方向とシルエットに深い関係があります。
②センターポジション
③アンダーポジション
毛束を引き出す位置の変化により、できあがるシルエットにも違いが出てきます。
グラデーション、セイムレイヤー、レイヤーの違いを思い出してみましょう。
②セイムレイヤー
③レイヤー
基本の切り口での落ちた毛束のシルエットはどうなっているでしょうか。実際に自分の切ったスタイルで確認することが大切です。
これら4種類の組み合わせを理解することで、あらゆるヘアデザインに対応することができます。では一つずつじっくり解説していきます。
一見難しそうな3×4の法則ですが、この4つのことを頭にいれて実践してみましょう。
では、次は練習する際に押さえておきたいヘアスタイルを紹介します。
3つのワンレングスを切る
身体の使い方と3×4の法則を理解したら、それを生かして3種類のワンレングスをカットしていきましょう。
手順は以下の図の通りです。
まずは水平。それが完璧にできたら、次に前下がりのスタイルを作ります。そして最後は後ろ下がりのスタイル。 この3つのスタイルを問題なくカットできるようになったら、次のステップへ進みましょう。
段のあるスタイルを切る
先程の3つのスタイルを作れたら、次は段のあるスタイルを作ってみます。
手順は以下の通り。
- バングのフェイスラインの長さを決める
- トップの長さを測る
- ワンレングスの部分とトップの長さをつなぐ
たったこれだけ。難易度が高そうな段がついたスタイルも、かんたんに完成させることができるのです。
まとめ
これらの行程をしっかり踏まえることで、お客様の要望にあったスタイルを提案できるように。
あとは何度も何度も繰り返しの練習が大切になってきます。
今まで美容師の世界では、身体の使い方を科学的に検証できていませんでした。それが原因となり、スタイリストとしてデビューするまでに莫大な時間を要していたのです。
子どもたちが使っているPORICA教育システムは、東京大学・筑波大学での実証実験を行っています。科学的に解明した方法でトレーニングをすることで、時間をかけずに最短でスタイリストデビューができるのです。